逆接ってややこしい?――しかし / 〜だけれども / 〜にもかかわらず

「雨が降っていたのに外出した」って英語で、however / although / despite / in spite of のどれを使えばいいんですか?



いい質問!意味は近いけど、文法上の接続の仕方(品詞)が違うんだよ。
- however:文と文をつなぐ接続副詞
- although:節(S+V)を導く接続詞
- despite / in spite of:名詞・動名詞とセットで用いる前置詞(句)



まずは「品詞=つなぎ方」で整理しよう。細部は例文で一気にクリアにするよ。
全体比較表:意味は近い、でも“つなぎ方”が違う
| 表現 | 品詞 | 後に続く形 | 文の位置 | ニュアンス / フォーマル度 | 例文 |
|---|---|---|---|---|---|
| however | 副詞(接続副詞) | 文(独立節) | 文頭 / セミコロン後 / 文中 | 論理を反転・明確化 / ややフォーマル | It was raining; however, we went out. |
| although | 接続詞 | S + V(従属節) | 文頭 / 文中 | やわらかい対比 / フォーマル寄り | Although it was raining, we went out. |
| despite | 前置詞 | 名詞 / 動名詞(V-ing) | 文頭 / 文中 | 簡潔・硬め / フォーマル | Despite the rain, we went out. |
| in spite of | 前置詞句 | 名詞 / 動名詞(V-ing) | 文頭 / 文中 | 意味は despite と同じ / ややカジュアル | In spite of the rain, we went out. |
ワンポイント:however は「文」と「文」を論理的に接続(句読点が目印)。although は「節」を導入。despite / in spite of は「名詞(句)」を前置詞として受ける、という違いです。
使い分けクイックガイド:どれを選ぶ?――基準は「つなぎ方」
- 文と文を論理的に反転 →
however - 主節+従属節(S+V)で対比 →
although(口語はthoughも自然) - 名詞 / 動名詞で簡潔に →
despite / in spite of
| 表現 | 品詞 | 後に続く形 | 一言サマリ |
|---|---|---|---|
| however | 接続副詞 | 文 | 「しかしながら」論理の切り替え(句読点に注意) |
| although | 接続詞 | S + V | 「〜だけれども」やわらかい対比(書き言葉寄り) |
| despite | 前置詞 | 名詞 / V-ing | 簡潔・フォーマル「〜にもかかわらず」 |
| in spite of | 前置詞句 | 名詞 / V-ing | 意味は despite と同じ(ややカジュアル) |
however:文と文をつなぐ「しかし〜」
however は「しかしながら」「とはいえ」という意味の接続副詞です。
つまり、文と文をつなげるときに使います。文法上は「副詞」なので、前の文とはピリオドで区切るのがポイントです。
補足: “however” の前はピリオドまたはセミコロン、後ろはカンマが基本(例:…; however, …)。カンマだけで前後をつなぐのは避けましょう。
例文:
- It was raining. However, we went out.
→ 雨が降っていた。しかし、私たちは出かけた。- The movie was long; however, it was interesting.
→ その映画は長かった。しかし、おもしろかった。
“but” も同じ「しかし」を表しますが、文と文の間にカンマでつなぐため、文法上の使い方が異なります。
違いまとめ:
- but: 接続詞(1文の中で2つの節をつなぐ)
- however: 副詞(文と文をつなぐ、文頭やセミコロン後に置く)



フォーマルな文章やレポートでは “but” より “however” の方が自然です。
although:文の中で使う「〜だけれども」
although は接続詞で、「〜だけれども」「〜ではあるが」という意味です。
主語+動詞(S+V)を導く点が、前置詞の despite / in spite of と異なります。
例文:
- Although it was raining, we went out.
→ 雨が降っていたけれども、私たちは出かけた。- We went out although it was raining.
→ 私たちは出かけた。雨が降っていたけれども。
although節は文頭にも文中にも置けますが、文頭に置くときはコンマ(,)を使うのが一般的です。
また、口語ではよりカジュアルなthoughを使うことが多く、文末に置くこともあります。
It was raining. We went out, though.
→ 雨が降ってたけど、出かけたよ。



“although” は書き言葉、though は話し言葉でよく使われますよね!



その通り!
although と thoughの違いもバッチリだね!
despite / in spite of:「〜にもかかわらず」
despite と in spite of は、どちらも「〜にもかかわらず」という意味を持つ前置詞です。
後ろには名詞または動名詞(〜ing)を置きます。つまり、主語+動詞(S+V)は置けません。
例文:
- Despite the rain, we went out.
→ 雨にもかかわらず、私たちは出かけた。- In spite of the rain, we went out.
→ 雨にもかかわらず、私たちは出かけた。- Despite being tired, he continued working.
→ 疲れていたにもかかわらず、彼は働き続けた。
違いまとめ:
- despite: 1語でフォーマル、短くまとまる。
- in spite of: ややカジュアル、会話でも自然。



despite of は誤りなので注意を!
“despite” 自体が前置詞なので “of” は不要です。
ネイティブ感覚での違いまとめ(図解)
4つとも「逆接」ですが、文のどこで使われるか・どのくらい文を区切るかで感覚が変わります。



上のマップでは文法上の違いを整理しました。
ここからはネイティブが感じる“使い分けの感覚”を見てみましょう。
感覚で整理するイメージ:
- however: 文と文をつなぐ。論理的に“流れを切り替える”。
- although: 一文の中で“対比”をやわらかく表す。
- despite / in spite of: 事実や状況を“名詞的に”まとめて提示する。
つまり、文章の「構造」で整理すると次のようになります。
however(接続副詞)
文と文をつなぎ、論理の流れを切り替える
It was raining. However, we went out.
although(接続詞)
一つの文の中で対比をやわらかく示す(S + V を導く)
Although it was raining, we went out.
despite / in spite of(前置詞)
名詞・動名詞を取り、状況を名詞的にまとめて提示
Despite the rain, we went out.
📘まとめ
上に行くほどフォーマルで論理的、下に行くほど簡潔で会話的。
however = 文と文 / although = 節と節(S + V) / despite / in spite of = 名詞・V-ing
よくある間違い・混同ポイント
❌ Despite it was raining
→ ✅ Despite the rain / Despite it raining
❌ Although of the rain
→ ✅ Although it was raining
❌ However it was raining, we went out.
→ ✅ It was raining. However, we went out.
❌ Although it was raining, but we went out.
→ ✅ Although it was raining, we went out.(although と but の重ね使いは不可)
ワンポイント:
“despite” の後ろに「S+V」は置けません。動詞を使う場合は it + V-ing(例:Despite it raining)や名詞句(Despite the rain)にしましょう。
実践トレーニング:日本語→英語にしてみよう
ここまでの内容を使って、実際に日本語を英語に変えてみましょう👇
- 雨が降っていたが、私たちは外出した。
- 疲れていたけれども、彼は働き続けた。
- 雨にもかかわらず、試合は行われた。
模範解答:
- ① It was raining. However, we went out.
- ② Although he was tired, he kept working.
- ③ Despite the rain, the game was held.
👉「どの品詞を使うか」を意識することで、自然な英文が書けるようになります。
関連表現(even though / nevertheless など)
ここまで紹介した4つ以外にも、「〜にもかかわらず」「しかし」を表す逆接表現はあります。似ていて混同しやすいので、ここで整理しておきましょう。
- even though:「たとえ〜でも」「〜だけれども」 → although よりも逆接の強調が強い。
- even if:「たとえ〜だとしても(仮定)」 → 現実ではなく、条件的な仮定を表す。
- nevertheless / nonetheless:「それにもかかわらず」 → however と似た接続副詞。フォーマルで論文・ビジネスに多い。
- though: although の口語版。文末にも置ける(例:We went out, though.)。
補足: “even though” は「実際にそうだったけれども」
“even if” は「仮にそうだとしても」──この違いを押さえるとスッキリします。
注意: “nevertheless / nonetheless” は however よりもさらに書き言葉寄りで、前後をセミコロンやピリオドで区切るのが自然です。
総まとめ(4つの逆接表現一覧表)



最後に、4つの表現を一覧で整理しておきましょう。これを見れば一目で使い分けがわかります。
| 表現 | 品詞 | 後に続く形 | 意味・特徴 | フォーマル度 |
|---|---|---|---|---|
| however | 接続副詞 | 文 | 「しかしながら」論理的に文と文をつなぐ | ★★★☆(ややフォーマル) |
| although | 接続詞 | S + V | 「〜だけれども」柔らかい逆接 | ★★☆(中程度) |
| despite | 前置詞 | 名詞 / 動名詞 | 「〜にもかかわらず」簡潔でフォーマル | ★★★★(フォーマル) |
| in spite of | 前置詞句 | 名詞 / 動名詞 | despiteと同義、ややカジュアル | ★★☆(中程度) |
使い方のコツは「何をつなぐか」で判断することです。
- 文と文 → however
- 節と節 → although
- 名詞や動名詞 → despite / in spite of
FAQ(よくある質問)
Q1. “though” と “although” の違いは?
A. 意味はほぼ同じですが、though はカジュアルで口語的、although はフォーマルで書き言葉寄りです。文末に置けるのは “though” だけです。
Q2. “despite of” は正しい?
A. ❌間違いです。“despite” 自体が前置詞なので “of” は不要です。正しくは “despite the rain” など。
Q3. “However” と “But” の違いは?
A. “but” は接続詞で1文内に使いますが、“however” は接続副詞で文を分けて使います。
例:It was cold, but we went out.
It was cold. However, we went out.
📚 関連記事(vsシリーズ/構文シリーズ)
おわりに
これで however / although / despite / in spite of の4つの逆接表現の使い分けが整理できましたね。
どれも「〜にもかかわらず」「しかし」と訳されますが、使い方のカギは「品詞の違い」と「何をつなぐか(文・節・名詞)」を見極めることでした。
文法的な整理を超えて、「どう使えば自然か」を意識できるようになると、英作文やリスニングでの理解力が一気に伸びます。



日常会話でもビジネスでも、“逆接”を自在に使えると英文に深みが出ます。



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なまえ:Akken
高校英語教員。”初心者にとことん向き合う”をモットーに情報発信しています。
所有資格:TOEIC825,英検準1級,英語教授資格TESOL certificate Ⅳ
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